昔入れたタトゥーを、今の自分に合う柄に作り直したい。そう考える人は少なくありません。好みが変わった、色が薄くなってきた、もっと大きな作品の一部にしたい、など理由は人それぞれです。
その選択肢の1つがカバーアップです。カバーアップとは、今あるタトゥーの上から新しい柄を彫って、元の柄を目立たなくする方法です。ただし、どんなタトゥーでも、好きな柄で隠せるわけではありません。元の柄より大きく、濃いデザインになることが多く、できるかどうかは彫師が肌と元の柄を見て判断します。
この記事では、次のことを順に説明します。
- カバーアップ・タッチアップ・リワーク・レーザー除去の違い
- 隠しやすいもの・隠しにくいもの、すぐには彫れない肌の状態
- レーザーで薄くしてから彫る方法と、ブラストオーバー
- 費用と回数の考え方
- カバーアップを受ける彫師の探し方と、相談のときに送る写真と情報
カバーアップとは
カバーアップは、すでに入っているタトゥーの上に新しいタトゥーを重ねて、元の柄が見えないようにする方法です。元の柄を消すのではなく、新しい柄の中に元の線や色を取り込んで、目立たなくすると考えるとわかりやすいでしょう。
似た言葉に「タッチアップ」「リワーク」があり、タトゥーを医療機関で消す「除去」とも相談先が違います。違いは次の節の表にまとめました。
消すのとカバーアップ、どちらがいい?
今のタトゥーをどうしたいかによって、選ぶ方法と相談先が変わります。
| 方法 | 何ができるか | 誰に相談するか |
|---|---|---|
| カバーアップ | 元の柄の上に新しい柄を彫って、元の柄を目立たなくする | 別の彫師に頼んでもよい(受けるかどうかは彫師による)。カバーアップの作品を載せている彫師へ |
| タッチアップ | 色が抜けた・線がかすれたところを補修する。柄はそのまま | 入れてもらった彫師に相談するのが基本とされます |
| リワーク | 元の柄を活かしたまま、線を足す・色を入れ直す・背景を足すなどして作り直す | 別の彫師に頼んでもよい(受けるかどうかは彫師による) |
| 除去 | レーザーなどでタトゥーを消す、または薄くする | 医療機関(皮膚科・形成外科など) |
どれがよいかは、「元の柄をまったく見えなくしたいのか」「元の柄を活かしてよいのか」「肌に何も残したくないのか」で決まります。
- 新しい柄なら入れてもよい: カバーアップかリワークを、彫師に相談します
- 元の柄が嫌いなわけではなく、薄くなっただけ: まずタッチアップを、入れてもらった彫師に相談します
- タトゥーそのものをなくしたい: 除去を医療機関に相談します
除去については、米国の食品医薬品局(FDA)が、レーザーの技術が進んだ今でも除去は手間と費用のかかる作業で、跡を残さずに完全に消すのはできないこともある、としています。どの方法がよいかは医療の専門家に相談するよう勧めています[1]。米国皮膚科学会(AAD)も、レーザーは1回ですべての層のインクを安全に壊すことはできず、治療と治療のあいだに肌を休ませる期間が要る、としています[2]。
カバーアップは「消す」方法ではなく、新しいタトゥーをもう1つ入れる方法です。上に入れた柄も一生残ります。迷っている段階なら、消すのか、作り直すのかを先に決めておくと、相談がスムーズです。
隠せるもの・隠しにくいもの
カバーアップで元の柄がどこまで隠れるかは、元のタトゥーの濃さ・大きさ・色と、上に彫る柄で決まります。ここでは、相談の前に知っておきたい一般的な傾向をまとめます。最終的にできるかどうかは、写真や実際の肌を見た彫師の判断です。
隠しにくい元のタトゥー
一般に、次のようなタトゥーは隠しにくいとされます。
- 黒が濃く、塗りの面が大きいもの: 黒の上にほかの色を重ねても、下の黒が透けやすくなります
- 大きいもの: 元の柄より大きく彫る必要があるため、上の柄がさらに大きくなります
- 大きな文字: はっきりした形の文字は、上に柄を重ねても形が読み取れることがあります(文字のタトゥーを入れる前に確かめたいことはレタリングタトゥーのフォントと文字選びにまとめています)
- 入れてからまだ新しいもの: インクが濃く、肌も落ち着いていないことがあります
反対に、年月がたって薄くなった線だけのタトゥーや、小さめのタトゥーは、比べると柄を選ぶ幅が広くなることが多いとされます。
柄は自由には選べない(大きく・濃く・元の線を活かす)
カバーアップでいちばん知っておきたいのは、上に彫る柄は、好きなものを自由に選べるわけではないということです。
- 薄い色・細い線・余白の多い柄では、濃い元のタトゥーは隠れません。細い線のワンポイントや、淡い色だけの柄でカバーアップするのは難しくなります
- 結果として、黒の面が多い柄や、模様の多い柄に落ち着くことが多いです。たとえば、和彫りの背景(雲・波・風。役割は和彫りの意味一覧で説明しています)、ブラックワーク、トライバル、花や波のように重なりの多いモチーフです
- 元の線を新しい柄の中に取り込むので、モチーフや向きは彫師と一緒に決めます。「持ってきた図案を、そのまま上に彫ってほしい」という頼み方は、ほとんどの場合そのままでは通りません
カバーアップで選ばれることの多い、黒の面や模様の多い作風の例を、掲載作品から紹介します。下の作品は作風の例で、カバーアップの作品という意味ではありません。
作品の画像は、tattooers.jp に掲載している彫師の作品から引用しています(2026年10月29日時点)。画像を押すと、その作品のページに移動します。
それぞれの作風の作品は、次のページでまとめて見られます。
すぐには彫れない肌の状態
次のようなときは、すぐにはカバーアップを彫れないことがあります。
- 元のタトゥーを入れたばかりで、まだ治りきっていない
- 元のタトゥーのところが盛り上がっている、ケロイドになっている、強い傷あとがある
- レーザー除去を受けている途中、または受けた直後
どれくらい待てばよいかは、肌の状態によって違うため、この記事では日数を示しません。傷あとやケロイドがある場合や、レーザーを受けている場合は、医療機関で肌の状態を相談したうえで、彫師にも伝えてください。
レーザーで薄くしてから彫る方法と、ブラストオーバー
元のタトゥーが濃くて隠しにくいときは、先にレーザーで元のタトゥーを薄くしてから、その上にカバーアップを彫るという方法もあります。薄くしてから重ねると、上に彫る柄を選べる幅が広がることがあります。
気をつけたいのは、レーザーで薄くする施術は、彫師ではなく医療機関で受けるということです。何回でどれくらい薄くなるかは、元のタトゥーの色や濃さ、肌の状態によって違います。AAD は、レーザーでの除去は結果が施術する人に大きく左右されるため、皮膚科の専門医に相談するよう勧めています。施術のあとに肌の色が明るくなったり暗くなったりするしみが出ることもある、としています[2]。
レーザーで薄くすることを考えている人は、次の順で相談すると進めやすくなります。
- カバーアップを頼みたい彫師に、元の写真を見せて「薄くしたほうがよいか」を聞く
- 医療機関で、レーザーを受けられるか、どのくらいかかりそうかを相談する
- レーザーのあと、いつから彫れるかは、医療機関と彫師の両方に確かめる
元の柄が透けるのを受け入れる彫り方(ブラストオーバー)
これとは別に、「ブラストオーバー」という彫り方もあります。レーザーで薄くする方法とは関係がなく、元のタトゥーを完全に隠そうとせず、元の柄が透けて見えることも受け入れて、その上から新しい柄を重ねる彫り方を指すことが多い言葉です。
元の柄を消すことよりも、新しい柄を入れることを優先したいときの選択肢の1つとされます。受けているかどうか、どこまで重ねるかは彫師によって違うので、カバーアップと同じように相談して決めます。
費用と回数の考え方
カバーアップだけの決まった相場はありません。ここでは、費用がどう決まるかを説明します。
- 同じ大きさの新しいタトゥーより、時間がかかることが多い: 元の柄を隠すために黒を重ねたり、元の線に合わせて下絵を調整したりするためです
- 上に彫る柄は、元のタトゥーより大きくなることが多い: 大きさが変われば、料金も変わります
- 1回で終わらないことがある: 何回かに分けて彫ったり、肌が落ち着いてから色を重ねたりすることがあります
- 料金の決め方は彫師によって違う: 大きさで決まる彫師、時間制の彫師、作品ごとに見積もりを出す彫師、1回ごとの料金の彫師がいます
- 写真で出せるのは目安だけ: 最終的な金額は、実際の肌を見てから決まることが多いです
参考までに、tattooers.jp の掲載彫師が公開している最低料金の中央値は、時間制で1時間あたり1万2,500円(よくある幅は1万〜1万5,000円)です(2026年10月29日時点、編集部集計)。これはカバーアップに限らない、すべての施術の「〜円から」の最低料金です。カバーアップでは、大きさや時間によって総額が大きく変わるので、相談のときに「何時間くらい、何回くらいかかりそうか」「総額でいくらくらいになりそうか」を聞いておきましょう。
料金の決まり方(サイズ制・時間制・見積もり・1回いくらの4通り)はタトゥーの値段相場の「決まり方は4通り」で、大きさごとの目安は同じ記事の「サイズ別の最低料金の目安」で説明しています。
カバーアップの作品を載せている彫師を探す
カバーアップは、元の柄に合わせて新しい柄を組み立てる作業です。そのため、彫師を選ぶときは「上手い彫師〇選」のような評判よりも、作品で確かめられることを見ていくのがおすすめです。
- カバーアップの前後がわかる作品を載せているか: 前と後の写真を並べて載せている彫師もいます。元の柄がどう取り込まれたかを見られます
- 黒の面や模様の多い作風を多く彫っているか: 前の節のとおり、カバーアップはこうした作風に落ち着くことが多いからです
- 元の写真を見て、できること・できないことを正直に言ってくれるか: 「この柄だと、ここまでは隠れない」「先にレーザーで薄くしたほうがよい」など、はっきり伝えてくれる彫師は相談しやすい相手です
tattooers.jp には、カバーアップの作品だけを絞り込む機能はありません。作風のページや彫師のプロフィールで、作品を見比べてみてください。
なお、カバーアップを受けていない彫師もいます。ほかの人が彫った作品には手を入れないと決めている、自分の作風と合わない、などの理由です。断られても、それは元のタトゥーやあなたが悪いということではありません。
次は長く気に入る柄を選ぶ
早く隠したい、という気持ちになるのは自然なことです。ただ、カバーアップの上に入れた柄も、また長く残ります。急いで「とにかく隠れる柄」を選ぶと、またしばらくして作り直したくなることがあります。
選ぶときは、「隠れるかどうか」だけでなく、**「次は長く気に入っていられる柄か」**で考えてみてください。そのためにも、自分の好きな作風を多く彫っている彫師を、作品で探すのがいちばんの近道です。友人に紹介された彫師でも、自分の好きな作風を彫っているかは作品で確かめましょう。彫師の選び方は、彫り師の選び方|後悔しないために確かめたい7つのことや、はじめてのタトゥー完全ガイドの「後悔しないために(彫師の選び方)」でもくわしく説明しています。柄に込める意味から考えたい人は、タトゥーの意味一覧も参考になります。
tattooers.jp で探す
- 彫師の一覧では、スタイルと地域で絞り込んで、彫師のプロフィールと作品を見比べられます
- 地域から探すなら、東京のタトゥー・彫師や大阪のタトゥー・彫師などの地域ページが便利です
- 施術を受けた人の声(VOICE)が載っている彫師なら、相談のしやすさや施術中の雰囲気も前もって知ることができます。Instagram で見られるのは作品の一部だけなので、あわせて確かめておくと安心です
SNS や検索で探す場合も、最後は作品を見て、自分の好きな作風かどうかで決めましょう。
相談のときに送る写真と情報
カバーアップの相談では、元のタトゥーの写真がいちばん大事です。最初のメッセージに次のことがそろっていると、彫師もできるかどうかを判断しやすくなります。
- 自然光で、正面から撮った写真: 室内の照明だと色や濃さがわかりにくくなります
- 少し離れて、部位全体が写る写真: どこまで広げられるかの判断に使います
- 大きさ: 定規やメジャーを当てて撮ると、正確に伝わります
- 入れた時期と、レーザーを受けたことがあるか
- どんな雰囲気にしたいか: 好きな作風や、好きな作品の画像があれば添えます
- 大きくなってもよいか、どこまで広げてよいか: 「半袖で隠れる範囲まで」のように伝えます
- 柄は彫師の提案に任せてもよいか
DM で相談するときは、最初の一言で「カバーアップの相談です」と書き、元のタトゥーの写真を付けて送りましょう。彫師も、受けられそうかどうかを判断しやすくなります。そのまま使える例文は、タトゥーの予約DM例文の「カバーアップの相談」にまとめています。
写真だけでは決めきれないこともあります。下絵は、実際の肌と元の柄を見てから描くという彫師もいます。その場合は、カウンセリングで一度お店に行くことがあります。
ほかの彫師の作品を見せて「これと同じ柄で隠してほしい」と頼むのは避けましょう。ほかの人の作品をそのまま写すことになるうえ、元のタトゥーの形に合わせられないことがほとんどです。好きな作品は参考として見せて、自分の元のタトゥーに合う柄を提案してもらう形で相談してください。
tattooers.jp で相談する
気になる彫師が決まっている場合は、予約を受け付けている彫師なら、彫師のプロフィールから予約相談を送れます(作品ページからは「タトゥーアーティスト詳細へ」でプロフィールに移れます)。予約相談のフォームには「リクエスト」の欄があり、「カバーアップ」を選べます。「現在入れているタトゥーの写真」を添える欄もあります。予約相談は18歳以上の方が対象で、送るときに生年月日の入力が必要です。
彫師がまだ決まっていない場合は、TATTOO REQUEST が使えます。
- TATTOO REQUEST の投稿ページを開く(ログインが必要です)
- スタイル・部位・サイズ、予算・希望時期・エリアを入力する
- 最後の「タグ・写真など」で、タグの「カバーアップ」を選び、「現在入っているタトゥーの写真」を添える
- 投稿すると、受けられる彫師から提案が届きます
写真やデザインの説明は、掲載している彫師だけが見られます(一覧ページには出ません)。くわしい使い方ははじめてタトゥーを入れる方へで説明しています。
よくある質問
Q. カバーアップは、元のタトゥーを入れたときより痛いですか?
人によって違うので、一概には言えません。元のタトゥーがある肌に重ねて彫るので、感じ方が変わることがあります。部位ごとの痛みの違いは、タトゥーの痛み 部位別ランキングでまとめています。痛みが心配なことは、相談のときに先に伝えておきましょう。
Q. 白のインクで塗れば、元のタトゥーを消せますか?
一般に、白のインクで下の色を隠すのは難しいとされます。時間がたつと下の色が透けて見えることがある、とも言われます。元のタトゥーを目立たなくしたいときは、カバーアップか、医療機関でのレーザー除去を相談しましょう。
Q. カラーのタトゥーの上から、黒で隠せますか?
元の色の濃さや大きさ、上に彫る柄によって変わります。この記事の「隠せるもの・隠しにくいもの」にあるとおり、黒の面が多い柄なら隠しやすくなることが多いとされます。元の写真を添えて、彫師に相談してみてください。
Q. 何回くらいかかりますか?
大きさや元のタトゥーの濃さによって違うため、決まった回数はありません。1回で終わらず、何回かに分けて彫ることもあります。相談のときに「何時間くらい、何回くらいかかりそうか」を聞いておきましょう(くわしくは費用と回数の考え方)。
Q. 元のタトゥーを入れてくれた彫師以外に頼んでもいいですか?
カバーアップやリワークなら、別の彫師に頼んでもかまいません。ただし、ほかの人が彫った作品に手を入れるかどうかは彫師によって違い、特に和彫りの続きなどは慎重になる彫師もいます。色が抜けたところを補修するタッチアップは、入れてもらった彫師に相談するのが基本とされます。カバーアップを受けていない彫師もいるので、カバーアップの作品を載せている彫師に相談するのが近道です。
まとめ
- カバーアップは、今あるタトゥーの上に新しい柄を彫って、元の柄を目立たなくする方法。消すのではなく、新しいタトゥーをもう1つ入れること
- タッチアップは入れてもらった彫師に、カバーアップ・リワークは別の彫師でもよい(受けるかどうかは彫師による)、除去は医療機関に相談する
- 黒が濃い・大きい・はっきりした文字のタトゥーは隠しにくい。上の柄は大きく、濃く、模様の多いものになることが多い
- 柄は自由には選べない。元の線を活かして、彫師と一緒に決める
- レーザーで薄くしてから彫る方法もある。レーザーは医療機関で相談する。ブラストオーバーは、元の柄が透けるのを受け入れて重ねる別の彫り方
- 費用は時間・大きさ・回数で決まり、最終的な金額は肌を見てから決まることが多い
- 「隠れるか」だけでなく、「次は長く気に入っていられる柄か」で選ぶ
- 相談では、最初に「カバーアップの相談です」と書き、自然光で撮った元の写真と大きさを送る
彫師が決まっていなければ、TATTOO REQUESTで「カバーアップ」のタグを付けて相談を出してみてください。自分で探したいときは、作品の一覧や彫師の一覧で、好きな作風を彫っている彫師を探せます。
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参考文献
本文で使った一次情報は次のとおりです。各リンクは外部サイトに移動します。
- U.S. Food and Drug Administration (2024). Tattoos & Permanent Makeup: Fact Sheet(Content current as of 10/15/2024). 確認日 2026年10月29日.
- American Academy of Dermatology (AAD) (2023). Tattoo removal: Lasers outshine other methods(Last updated 11/28/23). 確認日 2026年10月29日.
※ 料金は、tattooers.jp の掲載彫師が公開している情報をもとに編集部が集計したものです(2026年10月29日時点)。米国 FDA や米国の学会の情報は、日本の制度や医療の前提と異なる場合があります。レーザー除去や肌の状態について不安がある方は、医療機関に相談してください。
