渋谷PARCOの屋上で笑う、黒のセットアップのあきこさん

TATTOO TOUR TOKYO JOURNAL

足に巻きつくリボンのタトゥー|あきこさんがヴィヴィアンの靴を脚に彫った理由

Photo by TATTOO TOUR TOKYO

2026年10月29日 公開 · 10月29日 更新
文 TATTOO TOUR TOKYO · 9分

CONTENTS 12
  1. 足に巻きつくリボン
  2. 卯年のウサギ
  3. 口紅と「MILK」
  4. さくらんぼと「No Pain No Gain」
  5. イチゴと「le vent heureux」
  6. 腰のハートと矢
  7. 10年以上、ひとりの彫り師に
  8. 人生いろいろあって、美容の道へ
  9. 肌に色が入って、服が変わった
  10. タトゥーを入れて、よくなかったこと
  11. 次は水瓶とバンビ、それにトカゲ
  12. あきこさんのタトゥーを彫った人

街を行くタトゥーの持ち主に、その一つひとつに込めた話を聞くTATTOO TOUR TOKYO。このジャーナルには、SNSの短い動画に入りきらなかった話まで、撮影した素材から書き起こして載せています。今回の相手は、東京・中野でまつげと眉毛のサロンを営むあきこさん。2026年2月16日、渋谷PARCOの屋上で、黒のセットアップの裾をまくりながら、脚と胸と腰のタトゥーを一つずつ見せてもらいました。

渋谷PARCOの屋上に立つあきこさん

全身のタトゥー一覧

部位モチーフ意味彫った人
ふくらはぎ足に巻きつくリボンヴィヴィアン・ウエストウッドの靴。絆マグヌスさん
すねウサギ卯年。幸福を呼ぶウサギマグヌスさん
膝の上口紅と「MILK」読者モデル時代の名前。愛の象徴マグヌスさん
太ももさくらんぼと「No Pain No Gain」美容業を一生やるマグヌスさん
胸イチゴと「le vent heureux」幸せな風。息子さんの名前からマグヌスさん
腰矢の刺さったハートファーストタトゥー。これから先も頑張っていくマグヌスさん

足に巻きつくリボン:ヴィヴィアンの靴を、片足に

右のふくらはぎに、黒い蝶結びがひとつ。そこから垂れたリボンが、すねを斜めに横切りながら足首のほうへ巻き下りていきます。色は黒とグレーだけ。スニーカーと靴下のあいだから、リボンの端がのぞきます。

――リボンを選んだのはなぜですか?

あきこ

なんか足に巻きつけたいなと思って、それでリボンを。ヴィヴィアン・ウエストウッドのロッキンホースバレリーナってわかります? あの靴を私、昔ずっと履いていて。片足にそれみたいなのを彫りたいなと思ってやったので。

ロッキンホースバレリーナは、木のブロックのような厚底に、足首まで巻き上げるリボンが付いたヴィヴィアン・ウエストウッドの靴です。1985年に発表され、ブランドを代表する一足になりました(WWDJAPAN)。

――知っている人が見たら、おっと思うわけですね。

あきこ

そう。でも、みんな気づかないかな。足に巻きつけて、ファッションの一部にしたいと思って。

――フラッシュ(彫り師が用意した図案)ですか?

あきこ

持ち込みで、ちょっとおまかせでやってもらいました。Pinterestとかで見て。5万ぐらいですかね。4時間ぐらいかかったかな。

値段は本人の記憶で約5万円。6つのなかでいちばん大きなタトゥーです。リボンには、もうひとつ意味を重ねています。

リボンが、大切な人たちを失いたくないっていうので、絆っていう意味もあって入れました。

― あきこ

足もっと出してましたね。タトゥーをちょっと見せてた気がします。最近見せてないですけど。冬寒くて。

― あきこ
ふくらはぎから足首へ巻き下りるリボン

卯年のウサギ:その日に描いてもらった3枚から

リボンと反対の脚、すねの外側には、白いウサギが跳ねています。耳の内側はピンク、目と足先に赤。本人いわく「ちょっと和っぽい感じのウサギちゃん」です。

――ウサギは卯年だからですか?

あきこ

そうです、卯年。だからウサギを彫りたいと思って。あと、レッドバニータトゥーさんで彫ったんですけど、ウサギを彫るなら絶対そこって思ってて。

彫ってもらったのは、吉祥寺のRed Bunny Tattoo。名前に「バニー(ウサギ)」を持つスタジオで、卯年のウサギを入れる。あきこさんにとっては、これ以上ない組み合わせでした。

――これはフラッシュでしたか?

あきこ

マグヌスさんに、その日にこういう感じがいいって言って描いてもらって、3種類ぐらい書き起こしてもらって、その中から選びました。目が赤いのが可愛い。

目の赤はスタジオの名前から来ているのでは、と聞くと「そうかもしれない。足も赤いし」。値段は「2万円でした」。撮影の後半には、このウサギを「幸福を呼ぶウサギ」と言い直しています。

すねの外側に跳ねる白いウサギ

口紅と「MILK」:読者モデル時代の名前

膝のすぐ上には、赤い口紅。その横に、筆記体の文字が添えられています。

――なんて書いてあるんですか?

あきこ

ミルク。KERAっていうファッション雑誌が昔あって、その時の私の名前がミルクって名前でやってたんで、絶対将来入れたいなと思って名前を入れました。読者モデルみたいな感じで、ちょっとだけ出てました。

KERAは1998年創刊の原宿系ファッション誌で、2017年に紙の雑誌としての発行を終えています(モデルプレス)。

――なぜ口紅と組み合わせたんですか?

あきこ

口紅でやった理由、なんだろう。なんか愛とか、そういう感じだった気がする。愛の、なんか、象徴みたいな。

値段は本人の記憶で2万円ほど。

膝の上の口紅と文字

さくらんぼと「No Pain No Gain」:美容業を一生やる

太ももの上のほう、普段は服に隠れる位置に、二つ実のさくらんぼがあります。軸の付け根には黒いリボン。その上に「No Pain No Gain」の一行が弧を描きます。

――この言葉を選んだのは?

あきこ

痛みなしでは得られない、っていう。美容師になりたいと思って、社会人になってから美容学校に入ったんですよ。で、絶対辞めないぞっていう、そんな象徴ですかね。美容業を一生やるっていうのを、ここに刻んでみました。

――さくらんぼにしたのは?

あきこ

さくらんぼも、なんか繁栄とかだったかな。これから先頑張っていくのに、確かさくらんぼってラッキーポイントみたいなのだった気がする。

撮影の後半には、スマートフォンのメモを見返しながら意味を挙げています。「無垢、純粋さ、幸運、あと情熱、愛情」。さくらんぼのタトゥーには一般に、無垢・純粋・愛情といった意味が重ねられます(LUCKY ROUND TATTOO)。

――ここにもリボンが付いていますね。

あきこ

そう、リボンが好きですね。

値段は本人の記憶で2万円ほど。

太ももの上のさくらんぼと「No Pain No Gain」

イチゴと「le vent heureux」:幸せな風

胸の中央には、赤いイチゴが二つ。片方は縦に切った断面で、果肉の白い筋がハートの形になっています。その下に、小さな筆記体で「le vent heureux」。

――英語ではないですね。

あきこ

これはフランス語です。幸せな風っていう意味で。息子の名前に「風」の字が入っているから、幸せな風を吹いてほしいっていうので、ちょっと胸に入れてみました。これも愛の象徴ですね。ハート。

イチゴの赤と葉の緑に比べて、文字の黒は少し薄くなっています。本人も「消えちゃってますね、ここ」と笑います。

――なぜイチゴなんですか?

あきこ

イチゴ、好きじゃないんですけど、別に。味は好きじゃないんですけど、見た目のイチゴが好きで。このつぶつぶに、この断面図。可愛くないですか? イチゴ好きじゃないけど、イチゴのもの買っちゃうみたいな。

イチゴのタトゥーは一般に愛や幸福を表すとされます(LUCKY ROUND TATTOO)。あきこさんのイチゴは、まず断面のハートのためにあります。

胸のイチゴと「le vent heureux」

腰のハートと矢:ファーストタトゥー

最初のタトゥーは、腰の横。赤いハートを、一本の矢が斜めに貫いています。6つのなかでいちばん古く、輪郭の黒はやわらかくにじみ始めています。

――ファーストタトゥーを腰にしたのは?

あきこ

一番痛くなさそうかなって思ったのと、あんまり見えないところに入れたかったので。腰が一番、女性も入れやすいところなのかなと思って、腰に入れてみました。

――ハートに矢を選んだのは?

あきこ

これからいろんな道を乗り越えていくっていうので、確かハートに矢が刺さったのを入れました。これから先も頑張っていくっていう意味で。20代前半ぐらいに入れました。

部位ごとの痛みの違いは部位別のタトゥーの痛みにまとめています。

このハートにも、小さなリボンと数字の「69」が添えられています。

――69は何の数字ですか?

あきこ

当時の私の、ムクっていうあだ名です。無垢のムク。ムクムクしたもの、モコモコしたふわふわしたものが好きだったから、兼ね合わせてムクって。ムクちゃんって呼ばれてた。

6と9で「ムク」。値段は本人の記憶で2万円ほど。

腰の横の、矢が刺さったハート

10年以上、ひとりの彫り師に

6つのタトゥーはすべて、吉祥寺のRed Bunny Tattooで、同じ彫り師に入れてもらったものです。値段はリボンが約5万円、ウサギが2万円。残りの4つについては、あきこさんの記憶では「全部2万円だった」「多分2万円だったと思う」。

――彫り師さんはどなたですか?

あきこ

レッドバニータトゥーという吉祥寺にあるお店の、マグヌスさんという男性の彫り師さんです。スウェーデン人の。もうファーストタトゥーからずっとその方にお願いしてます。十年以上です。

Red Bunny Tattooは2005年に吉祥寺で開いたスタジオです(Red Bunny Tattoo)。撮影中、あきこさんはスマートフォンでマグヌスさんのInstagramを開いて見せてくれました。

――どんなタトゥーを彫る人ですか?

あきこ

結構こういう感じのタトゥーです。不思議。この人が描く絵は基本的にこういう系で、多分元々こういう絵を描いていて。タトゥーはいろんなのを彫る。キャラものも彫るし、リアルなのも彫るし。いろんなのが得意。

――選んだきっかけは?

あきこ

専門学校の時の女の子に紹介してもらって。マグヌスさんがたまたま空いていて、頼んだ感じです。絵のタッチも好きだったので。紹介してもらったのはスタジオだけで、彫り師さんは絵のタッチで選ぶ感じですかね。

――ほかの彫り師さんに頼んだことは?

あきこ

私は彫り師さん一人しかいない。浮気できないんで。浮気しないんで。

彫り師の話をするあきこさん

人生いろいろあって、美容の道へ

――タトゥーを入れたきっかけは?

あきこ

なんかこう、人生いろいろあったので。専門学校に入ると同時に、ちょっと頑張ろうと思って、乗り越えるためにタトゥーを入れました。一回社会人になって、美容業をやりたいなと思って。それをきっかけにタトゥーを入れようと思って。そしたら、どんどん増えました。今後も増える予定です。

その決意が腰のハートになり、太ももの「No Pain No Gain」になりました。いまは地元の中野で、まつげと眉毛のサロンを経営しています。

中野でお店を出したくて。念願のお店を出しました。

― あきこ

肌に色が入って、服が変わった

――タトゥーを入れてよかったことは?

あきこ

好きなものを入れてるので、好きなものがずっとそばにいてくれるっていうのと、体の一部にカラーが入ってることがファッションの一部になって。人生変えてくれたかな。他と違うことが好きなので。

――ファッションで色がある、ってどういう感じですか?

あきこ

人間って、裸になると肌色じゃないですか。そこに色が入ることによって、その人の色になるっていうか、その人のカラーが出来上がるみたいな。ピンクとか赤とか黒がやっぱり好きなので、自分もそういうカラーにしたくて、タトゥーもそういうのに寄せて入れてみました。

赤い口紅、赤いさくらんぼ、赤いイチゴ、赤い目のウサギ。そして黒のリボン。脚と胸に散らばる6つは、本人の好きな色でそろっています。

――タトゥーがあるから、服を変えたりもしますか?

あきこ

体に色が入ってるから、モノトーンの洋服をよく着るようになりましたね。色物はあんまり着なくなりました。アクセサリーもつけなくなった。シンプルに。

取材の日も、上下とも黒のセットアップでした。脚のリボンについては、こんな話も。

スカートとか履いた時に、ちょっとだけ見えるのが。タトゥータイツとか昔あって、あれって言われるぐらい自然な感じに見えるので。それはおすすめですよ。友達からも好評で、みんなやりたいって。

― あきこ
タトゥーとファッションの話をするあきこさん

タトゥーを入れて、よくなかったこと

――よくなかったことはありますか?

あきこ

親に内緒にしてたのがバレた時に、すごい怒られました。もう成人してたから、特に何も言われなかったですけど。それぐらいですかね。あと、プールとか温泉に入れないぐらい。別に入らないからいい。隠せば入れるから大丈夫。あんまりデメリットに感じたことはないです。

――苦手なタトゥーはありますか?

あきこ

嫌なタトゥーは、ないな。やっぱり、見せびらかしてオラオラしてる人のタトゥーは好きじゃないかもしれない。ファッションの一部っていうのが私の中では強いので、見せびらかして歩くとかでもないかなっていう感じですかね。

――友達もタトゥーを入れていますか?

あきこ

入れてます。結構いっぱいいますね。昔よりも全然いっぱい入れてますね、みんな。美容学校じゃなくて、バンド系の友達がみんなほぼほぼ入ってますね。ファッション系のお仕事をされてる方とか。

入れてよかったこと・よくなかったことを話すあきこさん

次は水瓶とバンビ、それにトカゲ

――次に入れたいタトゥーは?

あきこ

水瓶座なので、水瓶のタトゥーとか。あと鹿。バンビみたいな、ちょっと可愛い系の。子鹿が好きなので、それを入れようかなって思ってます。どこら辺に入れようかなって。フルだったら、全身彫ってみたいですけどね。

撮影の終わりぎわには、もう一つ候補が増えました。家では爬虫類をたくさん飼っているのに、爬虫類のタトゥーはまだありません。

それも入れたいんだ、そういえば。ニホントカゲとか、アオジタトカゲを入れたい。尻尾が虹色の子。

― あきこ

――これからタトゥーを入れたい人に、何を伝えたいですか?

あきこ

入れたいけど入れられない人、結構いるんで。みんなが入れる一歩を踏み出せればいいなって。安心できる彫り師さんを紹介していくのが一番いいですよね。

次に入れたいタトゥーを話すあきこさん

あきこさんのタトゥーを彫った人

彫り師彫ったタトゥー
マグヌスさん(吉祥寺・Red Bunny Tattoo、Instagram @deadpigeontattoo)リボン、ウサギ、口紅と「MILK」、さくらんぼ、イチゴ、腰のハート(全6点)

吉祥寺や中野の近くで彫り師を探すなら、東京の彫り師から作品と予約方法を確かめられます。カラーのタトゥーはカラーの作品一覧、文字を添えたタトゥーはレタリングの作品一覧にまとめています。

気になる彫り師がいたら、作品と予約方法を確認できます。

彫り師一覧を見る

PROFILE

あきこ

東京・中野が地元。社会人を経て美容の専門学校に入り直し、地元の中野にまつげと眉毛のサロンを開いた。20歳を過ぎたころから、吉祥寺のRed Bunny Tattooのマグヌスさんひとりにタトゥーを入れてもらっている。

WRITTEN BY

TATTOO TOUR TOKYO

街で出会ったタトゥーの持ち主に、その一つひとつに込めた話を聞くショート動画メディア。tattooers.jp と同じチームが撮影・取材しています。コラムでは撮影したインタビューを記事にまとめています。

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更新履歴 v1 2026年10月29日 公開しました